
【AQUOS R5G レビュー】高パフォーマンス・ディスプレイがキレイ!
2020年3月の3キャリアの5Gサービス開始と同時に発売されたのが、シャープのAQUOS R5Gです。
AQUOS R5Gは、背面にトリプルカメラを採用。高速・大容量の特徴を生かすため、8Kでの動画撮影に対応しています。
最大120Hzで駆動できる省電力なIGZOディスプレイも、この端末の強み。実機で、その実力をチェックしていきました。

目次
AQUOS R5Gのスペックと価格
本体サイズ | 高さ:約162 mm 幅 :約75 mm 厚さ:約8.9 mm |
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重量 | 約189 g |
ディスプレイサイズ | 約6.5インチ |
ディスプレイ | Quad HD+(1,440×3,168ドット)Pro IGZO |
内蔵メモリ(RAM/ROM) | RAM 12GB LPDDR5対応/ ROM 256GB UFS3.0 + WriteBooster対応 |
バッテリー容量 | 3,730mAh |
メインカメラ | 超広角カメラ 約4,800万画素/F値2.9 望遠カメラ 約1,220万画素/F値2.7 標準カメラ 約1,220万画素/F値1.7 |
サブカメラ | 有効画素数 約1,640万画素/F値2.0 AQUOS beauty(美肌補正) |
8K撮影 | 〇 |
防水防塵 | IPX5/8/IP6X(※) |
生体認証 | 指紋認証/顔認証 |
おサイフケータイ | 〇 |
ワンセグ | フルセグ |
ワイヤレス充電 | × |
価格 | docomo au Softbank (新規契約・一括払いの場合、税込価格、2020年5月13日時点) |
※防水機能は、常温(5℃~35℃)の真水・水道水にのみ対応
色合いが鮮やかで、表示も滑らかなディスプレイ
液晶を手掛けるシャープのスマートフォンなだけに、AQUOS R5Gは、ディスプレイに大きな特徴があります。
表示可能な色数は10億色。
輝度は最大1000カンデラと高く、環境に応じて色合いを調整する機能が搭載されているため、どこで映像を見ても美しい映像を楽しむことができます。
実際にディスプレイを見ると、明るく、かつ色合いが豊かなのが分かります。有機ELディスプレイのように、色がこってりしすぎていることもありません。
もう1つの特徴と言えるのが、最大120Hzで表示内容を書き換えられるところ。
ここ最近のハイエンドモデルでは、高リフレッシュレートへの対応が一般化しつつありますが、消費電力が大きいこともあり、デフォルトではオフになっているケースも。
これに対し、AQUOS R5Gは、ディスプレイの表示内容に合わせ、1Hzから120Hzにリフレッシュレートを可変させています。

この機能によって、滑らかな表示と省電力性能を両立させることが可能になります。実機を使ってみると、確かにスクロールなどのガタつきが一切なく、動きが滑らか。
6.5インチ程度のサイズでも、その残像感の少なさは十分分かります。
リフレッシュレートは自動で変わるが、バッテリーの消費を意図的に抑えたいときは、アプリごとにこれをオフにすることも可能です。
HDRにも対応。
Netflixなど、HDRのコンテンツを配信しているサービスを使えば、色鮮やか映像を楽しむことができます。
それ以外の映像を見るときには、「バーチャルHDR」が有効。非対応のコンテンツを疑似的にHDR風の表示にでき、映像をより美しくすることができます。

バッテリーの減りが遅いのも、このディスプレイの恩恵と言えるでしょう。
一方で、液晶ならではのデメリットもあります。
その1つが、厚さ。自発光の有機ELとは異なり、液晶は表示にバックライトを必要とするため、そのパーツぶんの厚みが端末に反映されてしまいます。
AQUOS R5Gも、仕様上は8.9mmですが、重量バランスも相まってか、手に取ったときのカタマリ感がかなり強い印象で、この点は好き嫌いがはっきり分かれそうなポイントです。

8K動画がメインになった珍しいトリプルカメラ、画質も上々
背面には、3つのカメラと深度を測定できるToFセンサーが搭載されています。
おもしろいのは、超広角カメラの画素数が高いところ。
超広角カメラは4800万画素となり、標準カメラや望遠カメラの1220万画素よりも、撮影できるサイズが大きくなっています。
これは、超広角側で8K動画を撮影できるようにしたため。動画は画角が広い方が迫力が増すため、あえてこのような仕様になっているわけです。

カメラアプリのUIも独特で、通常の動画撮影とは別に「8Kワイド」と書かれたメニューが用意されています。ここに切り替えると、8Kでの撮影ができます。
ディスプレイの解像度がクアッドHDのため、撮影時にはその精彩さはなかなか分かりませんが、映像を拡大しても十分視聴が可能。
この解像感の高さを生かし、再生時に人物に寄る「フォーカス再生」にも対応しています。
ただし、8Kはデータサイズも大きくなりがち。わずか30秒程度の動画で300MBを超えたため、撮り過ぎには注意が必要になりそうです。


8K以外の通常の動画撮影では、超広角、標準、望遠の3つを切り替えることができます。
撮影中のズームインやズームアウトにも対応。
さらに、撮ったあと、AIが必要なシーンだけを抽出して、自動で短い動画を生成する「AIライブストーリー」と呼ばれる機能にも対応しています。
AQUOS R5Gでは、端末のパフォーマンスを生かし、このAIライブストーリーの編集がかなり見ごたえのあるものになっています。
動画が撮りっぱなしになっている人には、うってつけの機能と言えるかもしれません。

もちろん、トリプルカメラでは写真の撮影もできます。
画素数の高い超広角カメラは、4つのピクセルを1つに合わせることで、1200万画素相当のサイズで撮影できます。
元々の解像感が高いこともあって、超広角カメラとしてはディテールがかなり鮮明で、描写の破たんも少ない印象。
抜け感のある、気持ちのいい写真が撮れます。
一方で、ナイトモードのような夜間撮影でノイズを減らして明るく撮るような機能がないのは残念。暗所撮影の強化は、今後の課題と言えます。



ハイエンドモデルらしい高いパフォーマンス、5G対応も
チップセットにはハイエンド向けのSnapdragon 865を採用。メモリ(RAM)は12GB、ストレージ(ROM)は256GBで最大1TBのmicroSDカードにも対応と、申し分ない高いスペックを備えています。
放熱構造も全面的に見直されているため、ピークパフォーマンスを発揮しやすいのもメリット。
実際、かなりの処理能力を必要とする8K動画撮影時も、端末が急激に熱くなるようなことはありませんでした。
ベンチマークアプリでのスコアも、非常に高い数値が出ました。
Geekbench 5でのスコアは、CPUのシングルコアが916、マルチコアが3357と、海外勢のハイエンドモデルに匹敵する数値。
GPUの性能を測るOpenCLで測定したComputeのスコアも2900と、高い結果をたたき出しました。ハイエンドスマートフォンの中でも、性能はトップクラスと言えるでしょう。


日本メーカーで初めて5Gに対応したのも、AQUOS R5Gの特徴です。
試用したのはソフトバンク版ですが、銀座(東京都中央区)などの5Gエリアでは、100Mbpsから300Mbps程度のスループットが出ていました。
LTEでも速いときは100Mbpsを超えることはありますが、この速度が安定して出るのはやはり5Gならではです。

ただし、いくら速度が速くても、エリアに行かなければ5Gスマホの実力は発揮できません。
残念ながら、現時点では3キャリアとも、スポットと呼んでも過言ではないほどエリアは狭く、リストを見てピンポイントで5Gをつかみにいく必要があります。
移動中にたまたま5Gをつかむということは、レアケースです。
エリアについては順次拡大していきますが、1年程度では大きく広がらないおそれもあるため、期待しすぎるのは禁物です。
AQUOS R5Gは、パフォーマンスが高く、ディスプレイがキレイで、かつ8K動画を撮影できるトリプルカメラを搭載ているユニークな端末です。
一方で、ここまで指摘してきたように、厚みがあったり、カメラが暗所にやや弱かったりと、改善してほしい点もあります。
価格も10万円を超えるため、万人向きというわけではありませんが、5G対応で、かつ高いパフォーマンスの端末がほしい人にはオススメできる1台と言えるでしょう。