
コスパ高【Galaxy Note 10+ レビュー】スペックや使い勝手を検証
「Galaxy Note10+」が2019年10月にドコモとauから、2019年12月に楽天モバイルから発売されました。
この端末は、サムスン電子のフラッグシップモデルであるGalaxy Noteシリーズの最新作。元々Galaxy Noteシリーズは、“大画面”と“Sペン”という2つの特徴を備えていましたが、Galaxy Note10+では、そのどちらにも磨きがかかっています。
ディスプレイサイズは、先代の「Galaxy Note9」よりも大きな6.8インチ。
Sペンはゼスチャーの認識に対応し、本体を置いたままできる操作のバリエーションが増えています。
筆者は、このモデルのドコモ版を、1カ月程度使ってきました。ここでは、その使用感などをお伝えしていきます。

画面がさらに見やすくなり、動作速度も快適
Galaxy Note10+の特徴としてまず挙げておきたいのは、6.8インチのディスプレイです。
先代のGalaxy Note9が6.4インチだっため、1世代でおよそ0.4インチ、ディスプレイサイズが拡大していることが分かります。
その理由は、上下、特に上部のベゼルを細くしたため。Galaxy Note9までは上部のベゼル内にインカメラや各種センサーを配置していましたが、Galaxy Note10+では、ディスプレイに穴をあけ、インカメラを埋め込んでいます。

そのため、0.4インチサイズアップしている一方で、横幅は約77mmと、先代のサイズ感をキープしています。
スマホの中では大きい端末であることは確かですが、手の大きい人であれば、ギリギリ片手で握れる横幅と言えるでしょう。
そのぶん、画面が広々としていて、動画などの迫力もあるため、両手で持つことを前提にして使うのもオススメ。横幅のサイズを抑えられた結果、ジャケットやパンツのポケットにもしっかり収まります。

ディスプレイはDynamic AMOLED(有機EL)で、発色もよく、映像に引き込まれるような感覚を覚えます。HDR10の動画再生にも対応。動画再生時に画質を向上させる、「ビデオエンハンサー」も搭載しています。
ちなみに、解像度は3040×1440ドットですが、初期設定では、省電力のため、2280×1080ドットに抑えられています。
最高解像度にしなくても、普通に使うぶんには十分キレイですが、目と画面の距離が近くなるVRコンテンツなどを楽しむときは、3040×1440ドットにした方がいいかもしれません。


チップセットにはSnapdragon 855を採用しており、パフォーマンスの高さも折り紙つき。
アプリの立ち上げやスクロールなどもスムーズで、グラフィックスに凝ったゲームでも快適に動きます。
メモリ(RAM)も12GBと超大容量のため、これもアプリの切り替えに効いています。大画面を生かし、2つのアプリを同時に表示しても動作がまったく遅くならないのは、このパフォーマンスに支えられていると言えます。

やっぱり便利なSペン、エアアクションには課題も
Galaxy Noteシリーズと言えば、やはりその名の由来になっているSペンは欠かせない要素です。
改めて解説しておくと、Sペンとは、ペンタブレットでおなじみのワコムの技術を採用した内蔵のスタイラスペンのこと。
静電容量式ながら、4096段階の筆圧を検知でき、繊細なタッチを画面上に表現できるのが特徴です。Galaxy Note10+にも、このSペンが採用されています。

Sペンは、本体下部に収納されているため、手書きが必要なとき、すぐに取り出せます。思い立ったらすぐに、メモを取れるのは、Galaxy Note10+のメリット。
画面オフメモと呼ばれる機能にも対応しており、ペンを取り出してすぐにメモを書き始めることができるのも、うれしいポイントです。
ペンの書き味も非常によく、あたかも本当のノートとペンを使っているかのよう。
ガラスにペンを走らせる感覚に慣れさえすれば、快適にメモを取ったり、絵を書いたりすることができます。


内蔵されているGalaxy Notesアプリを使えば、手書きの文字の認識も可能。
Galaxy Note10+では、ワンタップで1行ぶんの文字を認識し、即座にフォントに置き換えてくれる機能も追加されました。ある程度丁寧に文字を書く必要はありますが、認識の精度は高く、メモを後からPCなどで編集したいときに便利な機能です。
一方で、走り書きのような文字は誤認識も多いため、AIで認識率を改善するなど、今後の進化にも期待したいところです。

また、Galaxy Note10+では、エアアクションも利用できます。
これは、Sペンをリモコンのように使える機能のこと。
本体を立てかけておき、動画を再生したり、カメラのシャッターを切ったりといった操作が可能になります。
エアアクション自体はGalaxy Note9からの機能ですが、Galaxy Note10+では、Sペン側にモーションセンサーを搭載することで、ゼスチャーの認識も可能になりました。

このモーションセンサーによって、ペンをグルグル回したり、上下左右に振ったりすることで、各種アプリを操作することができます。
セルフィーを撮るときや、動画視聴時に便利な機能と言えるでしょう。
ただし、Galaxy Note10+本体を立てかけておく必要があるため、スタンド付きのケースなどを使っていないと、なかなかフル活用できません。
動作認識にもややクセがあり、思ったとおりに操作できないことも。便利なことは確かですが、あくまで補助的な機能と捉えておく方がよさそうです。
広角が撮れて夜景もキレイ、カメラは抜群のクオリティ
実はGalaxy Note10+は、カメラもスマホの中ではトップクラスの性能です。
背面に搭載されたカメラは、全部で4つ。
標準カメラは、デュアルアパチャー対応で、撮影環境の明暗に応じてF値を1.5と2.4に切り替えます。視野角123度の広角カメラと、約2倍に寄れる望遠カメラも搭載。さらに、被写体との距離を測るToFカメラも備えており、深度を正確に測ることができます。

まずは標準カメラの実力を見てみましょう。
以下の写真はやや暗めの室内で撮ったものですが、レンズが自動的にF値1.5に切り替わっており、全体的に明るめに撮れています。
逆に、太陽光の差し込む窓際で撮った写真は、F値2.4になっていることが確認できます。F値を上げることで、必要以上に明るくして白飛びしてしまったり、前景にピントが合いすぎてしまうのを防いでいるというわけです。


広角カメラに切り替えると、迫力ある写真を撮ることが可能。
123度の画角になるレンズは、デジカメでもなかなかなく、日々持ち歩くスマホでこのような写真が撮れるのは非常にうれしいポイント。
魚眼レンズに近いスペックのため、標準カメラと比べるとどうしても歪みは目立ちますが、広々とした風景を1枚の写真の中に凝縮する形で収められます。切り替えもボタンをタップするだけと簡単です。

ToFカメラを搭載しているおかげもあり、「ライブフォーカス」を使ったときの背景ボカシもキレイ。
人物以外の被写体にも適用でき、前景にある人や物をより強調した写真を撮ることができます。深度は写真に記録されているため、後からボカシの具合やピントの位置を変更できるのも、この機能のメリットと言えるでしょう。

スペックが非常に高く、便利なSペンや、スマホ最高峰のカメラを搭載したGalaxy Note10+は、まさに“全部入り”の端末。
ハイエンドモデルのため、価格は10万円を超えてしまいますが、その価値は十分あると太鼓判を押せます。単にスペックが高いだけでなく、使い勝手もよく、万人にオススメできそうです。