Appleは、2021年9月15日に開催したイベントにおいて、5G通信対応の第2世代に当たるiPhone 13シリーズを発表しました。
モデル構成は、「12」と同様にベーシックモデルのiPhone 13と、シリーズ最小のiPhone 13 mini、上級モデルのiPhone 13 Proと、シリーズ最大のiPhone 13 Pro Maxの4種類で、消滅する可能性があるとされていた「mini」も健在。
iPhone 13シリーズは、同月17日(金)21時より予約が開始され、発売日は同月24日(金)となっています。今回は、新たに発売されたiPhone 13シリーズの特徴や、12シリーズからの変更点、4モデル個々の個性などを、iPhone 12シリーズと対比しながら紹介します。
最新のiPhoneを含め、現在発売中のiPhoneの比較は、下記の記事に詳細にまとめましたのでぜひこちらも参考にしてみてください。

iPhone 13シリーズの主だったスペック一覧
iPhone 13シリーズの4モデルの違いを一目で把握するため、主だったスペックを一覧表に書き出してみました。太字部分は、新たな機能や特筆すべき機能を表しています。
iPhone 13 | iPhone 13 mini | iPhone 13 Pro | iPhone 13 Pro Max | |
---|---|---|---|---|
サイズ | 146.7×71.5×7.65mm | 131.5×64.2×7.65mm | 146.7×71.5×7.65mm | 160.8×78.1×7.65mm |
重量 | 173g | 140g | 203g | 238g |
筐体 | アルミニウム | ステンレススチール | ||
カラー | スターライト ミッドナイト ブルー ピンク プロジェクトレッド | シルバー グラファイト ゴールド シェラブルー | ||
ディスプレイ | 6.1インチ 全画面OLCD | 5.4インチ 全画面OLCD | 6.1インチ 全画面OLCD | 6.7インチ 全画面OLCD |
解像度 | 2,532x1,170ピクセル 460ppi | 2,340×1,080ピクセル 476ppi | 2,532×1,170ピクセル 460ppi | 2,778×1,284ピクセル 458ppi |
最大輝度 | 800ニト(標準) 1,200ニト(HDR) | 1,000ニト(標準) 1,200ニト(HDR) | ||
チップ | A15 Bionic 6コアCPU、4コアGPU、16コアニューラルエンジン RAM:4GB | A15 Bionic 6コアCPU、5コアGPU、16コアニューラルエンジン RAM:6GB | ||
認証 | Face ID | |||
容量 | 128GB 256GB 512GB | 128GB 256GB 512GB 1TB | ||
防水・防塵 | IP68 | |||
カメラ | デュアル12MPカメラ(2眼) ナイトモード Deep Fusion Apple ProRAW ポートレートモード | Pro 12MPカメラ(3眼+LiDAR) ナイトモード Deep Fusion Apple ProRAW ポートレートモード ナイトモードポートレート | ||
手ぶれ補正 | センサーシフト光学式手ブレ補正 | |||
通信 | 5G(sub-6 GHz)/ ギガビットLTE / MIMO対応WiFi 6(802.11ax)/ VoLTE / FeliCa | |||
Apple Pay | 〇 | |||
バッテリー | バッテリー リチャージャブルリチウムイオンバッテリー内蔵 MagSafeおよびQiワイヤレス充電 高速充電に対応 30分で最大50%充電 (iPhone 13 Pro Maxのみ35分で最大50%充電) | |||
SIMカード | デュアルSIM(nano-SIMとeSIM) デュアルeSIMに対応 | |||
コネクタ | Lightning |

外観やボディサイズについて
出典:apple.com
iPhone 13のボディは、タテ×ヨコのサイズについてはiPhone 12の同モデルと同等で、デザイン的にもカメラ位置が異なるなど細かい変更はあるものの、基本的に12シリーズを踏襲しています。
厚みと重量が若干増加
厚みと重量については若干の増加が見られます。
厚さは、iPhone 12シリーズは7.4mm、iPhone 13 シリーズは7.65mmと、4モデルとも0.25mm、厚みが増しています。
重量については、iPhone 13で(11g)、iPhone 13 mini(7g)、iPhone 13 Pro(16g)、iPhone 13 Pro Max(12g)の各増加となっていますが、いずれも小さな値で見た目にはほとんど変化は感じられません。
ストレージについて
iPhone 13シリーズの各モデルのストレージは、12から大きな変更がありました。
最小ストレージの引き上げによる大容量化
ベーシックモデルでは、iPhone 12/miniの「64/128/256GB」から、iPhone 13/miniでは「128/256/512GB」と容量が拡大されました。
64GBモデルについてはラインナップから外れています。
2017年、iPhone 7→iPhone 8への進化の際に、最小ストレージは32GB→64GBに引き上げられましたが、それから4年目にして、最小ストレージは128GBに引き上げられたことになります。
上位モデルでは初の1TBストレージが登場
iPhone 12 Pro/Pro Maxの「128/256/512GB」の3種類の構成から、iPhone 13では「128/256/512GB/1TB」の4種類構成となり、iPhoneではじめて1TB(テラバイト)が加わりました。

iPhone 13シリーズのチップや処理能力について
iPhone 13シリーズでは、チップは「A15 Bionic」に進化し、「A14 Bionic」に比べ約20%の処理能力アップが図られています。
Antutuベンチマークによれば、iPhone 12と13のベンチスコアは以下の通りです。
CPU
- iPhone 12 … 183,907
- iPhone 13 … 213,707(16.2%の向上)
- iPhone 12 Pro … 183,625
- iPhone 13 Pro …219,751(19.7%の向上)
GPU
- iPhone 12 … 273,139
- iPhone 13 … 328,958(20.4%の向上)
- iPhone 12 Pro …274,696
- iPhone 13 Pro …330,756(20.4%の向上)
採用されているチップは、ベーシックな13/13mini、上級モデル13 Pro/Pro Maxとも「A15 Bioni」で、CPUのコア数は「6」で共通ですが、GPUのコア数が、iPhone 13/13miniでは「4」なのに対し、iPhone 13 Pro/Pro Maxでは「5」となっています。
Pro/Pro Maxは、グラフィックスの処理の際に、若干、13/13 miniよりも能力が高いと言えます。
ディスプレイについて
出典:apple.com
iPhone 13シリーズのディスプレイについて見てみましょう。
全モデル有機ELディスプレイ採用
iPhone 13シリーズでは、iPhone 12シリーズに引き続き全モデルに「有機ELディスプレイ(OELD)」が採用されています。
従来の「液晶ディスプレイ(LCD)」に比べて以下のようなメリットがあります。
- 黒色をくっきり表現できるのでメリハリの利いた画像・映像になる
- 滑らかでスムーズな画面・映像になる
- 視野角が広い(ディスプレイを広い角度で正面と同じ画面が見られる)
- 消費電力が小さい
リフレッシュレート
特に、iPhone 13 Proシリーズでは、120Hzのリフレッシュレート(※)を採用しています(iPhone 12/12 miniは60Hz)。
簡単にいうと「1秒間に画面を更新する回数」で、iPhone 13 Pro Maxに採用された120Hzのリフレッシュレートは、1秒間に120回もの画面更新をすることになります。
ディスプレイは、簡単にいうとパラパラ漫画のよなもので画面の静止画をどんどん切り替えることで連続的に動いているように見えていますので、更新頻度が多い方が動きが滑らかに見えるわけです。
最大輝度の向上
ディスプレイの標準時の最大輝度がアップしています。
- ベーシックモデル:iPhone 12/12mini (625ニト)→ iPhone 13/13 mini(800ニト)
- 上級モデル:iPhone 12 Pro/Pro Max(800ニト)→ iPhone 13 Pro/Pro Max(1,000ニト)
HDR時の最大輝度は、4モデルとも1,200ニトで変更ありません。
カメラについて
注目のカメラ性能・機能についてチェックしてみましょう。
iPhone 13シリーズ全モデル共通のカメラの特徴
センサーシフト光学式手ブレ補正の対応
iPhone 12では「Pro Max」のみに採用されていた「センサーシフト光学式手ブレ補正」機能が全モデル(広角レンズ)に拡大採用されました。
この手振れ補正は、一眼レフカメラなどに採用されている技術です。
フォトグラフスタイル
「フォトグラフスタイル」は、新しい写真フィルター機能で、AIでモノや人物を判別します。
シネマティックモード
簡単に言ってしまえば、動画版の「ポートレートモード」で、動画でも背景をぼかすことができます。今まで以上に被写体が際立った動画撮影が可能になります。
スマートHDR 4
HDR(ハイダイナミクスレンジ)は明暗の差が大きい場面でも美しく撮影する技術ですが、「スマートHDR」はiPhone XS/XRから採用された進化版で、iPhoneが進化するごとにバージョンアップして、iPhone 13で「4」になりました。
iPhone 13 Pro シリーズだけのカメラ機能
超広角レンズの絞り値がf/1.8に
望遠レンズが光学3倍ズーム
超広角レンズが明るくなり、望遠レンズに光学3倍ズームが採用され、より画面の粗れの少ない画像を撮影可能になっています。
マクロ撮影対応
iPhone 13 Pro/Pro Maxの「マクロ撮影」はかなりスグレモノで、被写体から僅か数センチまで近寄ってもしっかりピントを合わせられます。

5G通信について
iPhone 13シリーズの5G通信については、iPhone 12シリーズと同等の「sub6」方式に留まっており、「ミリ波」対応は見送られました(米国内モデルはミリ波にも対応)。
大きな変更は「デュアルeSIM」機能の追加でしょう。
これは文字通り、2つのeSIMをデュアルSIMとして利用可能にする機能で、従来は物理SIM×1+eSIM×1のデュアルSIMであったため、デュアルSIMで利用する際には必ず片方は物理SIMを契約する必要がありました。
iPhone 13では、デュアルeSIMが採用されたことにより、2系統の通信契約とも即時開通~利用開始が可能になりました。
バッテリーについて
以下は、iPhone 12シリーズと、iPhone 13シリーズのバッテリーの持ち時間の一覧です。
ビデオ再生 | ビデオ再生 ストリーミング | オーディオ 再生 | 高速充電 | |
---|---|---|---|---|
iPhone 12 | 最大17時間 | 最大11時間 | 最大65時間 | 30分で最大50%充電 |
iPhone 13 | 最大19時間 約12%増 | 最大15時間 約36%増 | 最大75時間 約15%増 | 30分で最大50%充電 |
iPhone 12 mini | 最大15時間 | 最大10時間 | 最大50時間 | 30分で最大50%充電 |
iPhone 13 mini | 最大17時間 約13%増 | 最大13時間 約30%増 | 最大55時間 10%増 | 30分で最大50%充電 |
iPhone 12 Pro | 最大17時間 | 最大11時間 | 最大65時間 | 30分で最大50%充電 |
iPhone 13 Pro | 最大22時間 約29%増 | 最大20時間 約82%増 | 最大75時間 約15%増 | 30分で最大50%充電 |
iPhone 12 Pro Max | 最大20時間 | 最大12時間 | 最大80時間 | 30分で最大50%充電 |
iPhone 13 Pro Max | 最大28時間 約40%増 | 最大25時間 約108%増 | 最大95時間 約19%増 | 35分で最大50%充電 |
全ての項目で、iPhone 13シリーズのバッテリーの持ちがよい結果となっています。
特にProシリーズのバッテリーはかなり強化されているようです。
なお、充電コネクタについては、事前に「MagSafeによるワイヤレス充電に一本化される」、あるいは「USB-Cに変更される」等の期待や噂がありましたが、従来通り「Lightning+MagSafe」が踏襲されました。
iPhone 13シリーズは買うべき?見送るべき?
ここまで、iPhone 13シリーズの特徴を見てきましたが、結論として「iPhone 13は買うべき?見送るべき?」を考えてみましょう。
出典:apple.com
iPhone 13シリーズのストロングポイント
iPhone 13シリーズを購入すべき要因~ストロングポイントを要約すると以下になります。
- ボディ色に人気のピンクが復活した(iPhone 12/12 mini)
- CPU/GPUの性能アップにより処理能力が向上した
- 画面の最大輝度が向上した
- ストレージが拡大された
- センサーシフト光学式手ブレ補正が全モデルに搭載された
- デュアルeSIMに対応した
- バッテリー性能の拡充が行われた
さらに、上位モデルであるiPhone13 Pro/13 Pro Maxに関しては
- 120Hzのリフレッシュレートが採用された(Proモデルのみ)
- 動画撮影でもポートレートモードが利用可能になった(Proモデルのみ)
といった改善や新機能の追加がありました。
iPhone 13シリーズのウィークポイント
一方、iPhone 13シリーズに置いて期待を裏切られたり、残念だった点はあまり多くありません。
- 外観はほとんどiPhone 12シリーズから変化は見られない(厚さ・重量のみ増加)
- 5Gは依然として「sub-6」のみで、「ミリ波」対応は見送られた
- コネクタは「Lightning」が踏襲され、USB-Cの採用は見送られた
一部には、本シリーズはiPhone 13を名乗るよりも、ブラッシュアップモデルという意味で、「iPhone 12s」と名乗った方が似つかわしいといった評判も散見できます。
しかし、ここまで見てきたように、目新しい大きな機能追加はなかったもののその内面や性能面での変化は、モデル番号を12→13に1つ着進めるのにふさわしい進化を遂げていると言えます。
iPhone 13シリーズの購入の検討をお勧めしたい人
- (常に)新しいiPhoneを持ちたい人
- 新しいボディカラーが気に入った人
- iPhone 11以前のシリーズを使用している人
- 使用中の端末の「ストレージ容量」「ディスプレイ」「写真・動画撮影」「バッテリーの持ち」等に不満を感じている人
- デュアルSIMシステムを、両方eSIMで構築したい人
iPhone 12シリーズや11シリーズなどを旧機種を使用していて、現状にあまり不満のない場合には次のiPhone 14シリーズを待ってもよいかもしれません。
余談ですが、最新OSである「iOS 15」は、最も古い機種ではiPhone 6s/6s Plus、SE(第1世代)などもアップデート対象となっていますが、能力が追いつかない懸念もあり、Appleとしては初めて「選択性」のアップデートとしています。
ホームボタン付きのモデルは、第2世代の「SE」等の比較的新しいモデルへの買換えは必要な時期になっているかもしれません。

価格について
以下は、Apple Storeでの税込価格です。
カラー | ストレージ | Apple Store価格(税込) | |
---|---|---|---|
iPhone 13 | ピンク ブルー ミッドナイト スターライト Project RED | 128GB | 98,800円 |
256GB | 110,800円 | ||
512GB | 134,800円 | ||
iPhone 13 mini | 128GB | 86,800円 | |
256GB | 98,800円 | ||
512GB | 122,800円 | ||
iPhone 13 Pro | シエラブルー シルバー ゴールド グラファイト | 128GB | 122,800円 |
256GB | 134,800円 | ||
512GB | 158,800円 | ||
1TB | 182,800円 | ||
iPhone 13 Pro Max | 128GB | 134,800円 | |
256GB | 146,800円 | ||
512GB | 170,800円 | ||
1TB | 197,800円 |
iPhoneの販売がない通信サービス(※)を利用している場合には、Apple Storeでの購入も選択肢の一つとなります。
※ Povo、LINEMO、一部のMVNOなど
また、キャリア及びサブブランド等を利用している場合には、キャリアが独自の条件や価格を発表しており、場合によってはお得に購入することができますので、購入可能な方はそちらも選択肢となります。
iPhone 13シリーズ まとめ
今回は、新たに発表~発売となったiPhone 13シリーズについて、注目点ごとの詳細をチェックしてみました。
外観こそ大きな変化はありませんが、そのブラッシュアップされた中身は充分に購入検討に値すると感じました。

