
ワイヤレスイヤホンの「コーデック」ってなに?詳しく解説
最近はAirPodsを始め、ワイヤレスイヤホン(Bluetoothイヤホン)やワイヤレスヘッドホンなど無線タイプのものが人気ですよね。
実はそのワイヤレス製品を購入する際には「コーデック」を必ず確認しなければなりません。
しかし「なんとなく単語は聞いたことはあるものの、いざコーデックがなんなのかと言われると分からない」という方も多いと思います。
そこで今回はワイヤレスイヤホンを買う際にチェックする「コーデック」とは一体なんなのか、詳しくご紹介します!
目次
ワイヤレスイヤホン(Bluetoothイヤホン)のコーデックとは?
ワイヤレスイヤホンは別名「Bluetoothイヤホン」と呼ばれるほど近距離無線通信規格であるBluetoothで接続するタイプがほとんどなのですが、まずはコーデックの前に簡単にBluetoothの説明からさせてください。
Bluetoothは数m~数十mほどの距離の端末間で、電波を使ってデータのやり取りを行います。
ワイヤレスイヤホンの場合は「ワイヤレスイヤホン」と「音楽を再生する端末(例:iPhone)」の間で電波を使ってデータをやり取りしている…というわけですね。
しかし電波に乗せられるデータ量はそのままでは大きすぎて送ることができないので、データ量を圧縮(容量の大きなデータを小さくすること)する必要があります。
その圧縮する方式のことを「コーデック」と言います。
なんとなくコーデックについて分かって頂けたと思いますが、実はややこしいことにコーデックは1種類だけでなく複数の種類があるんです。
各コーデックはそれぞれ対応端末が異なり、さらに遅延や音質などにも違いが。「もう訳わからないよ〜!」となってしまうかもしれませんが、以下詳しく・分かりやすく説明しますのでご安心を!
各コーデックのスペック
コーデック名 | 遅延レベル | 音質レベル | 特徴 |
---|---|---|---|
SBC | 遅延あり | 標準レベル | 標準のコーデック。 ほぼすべてのワイヤレスイヤホンがSBCに対応している。 |
AAC | SBCよりも低遅延 | SBCよりも高音質 | iPhoneなどiOSで主に対応しているコーデック |
aptX | AACよりも低遅延 | AACよりも高音質 | Androidで主に対応しているコーデック |
aptX LL | aptXよりも低遅延 | AACよりも高音質 | - |
aptX HD | AACよりも低遅延 | aptXよりも高音質 | - |
LDAC | SBCよりも遅延あり | 2020年8月現在最も高音質と言われる | ソニーが開発。ハイレゾ対応 |
コーデックの対応端末
上の表を見ていただけると分かる通り「SBC」が標準のコーデックで、ワイヤレスイヤホンはほぼすべてがSBCに対応しています。
そのためもし購入しようとしているワイヤレスイヤホンに対応コーデックが書いていなくても「SBCには対応している」と考えて大丈夫なのですが…。
先ほど言った通りワイヤレスイヤホンは再生端末とデータのやり取りをして音楽を再生するので、ワイヤレスイヤホンの対応コーデックと再生端末の対応コーデックがマッチしている必要があります。
例えばAAC対応のワイヤレスイヤホンならAAC対応の再生端末を使わないとダメ、ということですね。
ただしその「ダメ」は、接続できないとか再生できないとか使えないいう意味の「ダメ」ではありません。
先ほど言った通りすべての製品がSBCに対応しているので、もしAAC対応のワイヤレスをAAC未対応の再生端末で使うと「AACではなくSBCで再生される=AACの低遅延や高音質が発揮されない」となるんです。
各コーデックの良いところ(低遅延や高音質)などを享受するためには対応コーデックをワイヤレスイヤホンと再生端末で合わせないとダメですが、対応コーデックが異なっていても使えるには使えるので安心してくださいね。
コーデックの遅延
さて先ほどから遅延だの低遅延だの申し上げていますが、一体「遅延とはなんなのよ?」と思われますよね。
ワイヤレスイヤホンにおける遅延とは、音の遅れのこと。
無線で電波を使ったデータのやり取りなので、再生端末からワイヤレスイヤホンにデータを送るには時間がかかってしまいます。
時間がかかれば「遅延がある」時間が短ければ「低遅延」と言われるわけです。
音楽を聞いているだけなら遅延があっても気にならないのですが、例えばスマホとワイヤレスイヤホンを接続しスマホでゲームをしている時。
画面上の演出とワイヤレスイヤホンから聞こえてくる音にズレがある=遅延がある、ということですね。
ワイヤレスイヤホンの用途が音楽だけでなくゲームや映画鑑賞の方は、なるべく低遅延のものを選ぶことをオススメしますよ(※)。
※低遅延のタイプでも遅延がまったくゼロというわけではありません。さらに低遅延を求めるならワイヤレスイヤホンではなく有線タイプのイヤホンを使うのがベターです。
コーデックの音質
さてワイヤレスイヤホンにおける「音質」はそのままの意味ですが、上の表を見ていただけると分かる通りコーデックを音質順に並べると
低音質 SBCfa-angle-leftAACfa-angle-leftaptXfa-angle-leftaptX LLfa-angle-leftaptX HDfa-angle-leftLDAC 高音質
となります。
2020年10月現在最も高音質と言われているLDACはSBCの最大約3倍のデータ量を送るため、ハイレゾ音源も楽しむことが可能。
音質にこだわる方はLDAC対応ワイヤレスイヤホンと対応端末が今のところベストな選択ですよ。
端末のコーデック確認方法
さてコーデックについて分かったところで、再生端末として使う方が多いであろうスマホのiPhoneとAndroidのコーデックについて見ていきましょう。
iPhoneのコーデック
iPhoneはSBCとAACのコーデックに対応しています。
ワイヤレスイヤホンがAACに対応しているものであればAACで、AACに対応していないものであればSBCで接続されます。
iPhoneでは実際にいま使っているコーデックがどちらなのか調べることは出来ないので、AAC対応のワイヤレスイヤホンならAACで接続していると考えて大丈夫です。
Androidのコーデック
Androidの場合、対応しているコーデックが機種ごとに異なりますが、Android 8.0以降の端末の場合、
- 設定アプリを開き「システム」をタップ
- 「端末情報」を7回タップ
- 「端末情報」の上部に出てきた「開発者向けオプション」をタップ
- トグル(スイッチ)をオンにして「開発者向けオプション」を有効にする
- 下にスクロールすると出てくる「Bluetooth オーディオ コーデック」をタップ
で、端末が対応しているコーデックを調べることができます。
ちなみに最高音質のLDACはソニーが開発したので、ソニーのスマホ「Xperia(Xperia XZなど)」はLDACに対応しています。
Xperiaユーザーの皆さんにはぜひLDACのワイヤレスイヤホンを試していただきたいと思います!
ワイヤレスイヤホン「コーデック」まとめ
以上、ワイヤレスイヤホン(Bluetoothイヤホン)におけるコーデックについてご紹介しました。
簡単にまとめると、
- コーデックとはデータの圧縮方式のこと
- コーデックは1つではなく種類がある
- 各コーデックによって遅延や音質に差がある
- コーデックのメリットを享受するには、そのコーデックに対応したイヤホンと再生端末が必要
といったところ。
非常にややこしいですが、少しでも理解を深められていれば幸いです!