
【Mi 10 Lite 5G レビュー】コストを抑えながら5Gデビュー
2020年3月から大手キャリア3社がサービスをスタートさせた5Gですが、当初はハイエンドモデル中心だったこともあり、「端末が高い」と思われている方も多いかもしれません。
実際、各社のフラッグシップモデルを見ると、本体価格は軒並み10万円オーバー。
総務省から分離プランが義務付けられたため、以前のような各種割引もなく、どうしても割高に感じてしまうはずです。
そんな中、auから登場したXiaomi(シャオミ)の「Mi 10 Lite 5G」は、破格の5Gスマホとして注目を集めています。
特筆すべきなのは、やはりその価格。
本体価格は4万2740円とリーズナブルで、しかもauの「かえトクプログラム」を使うと、3万円を下回る実質価格になります。
とは言え、いくら安くても、品質が伴っていなければ安物買いの銭失いになるだけ。
長く使うことが前提のスマホでは、失敗は避けたいところです。
約4万円の価値は本当にあるのか――Mi 10 Lite 5Gの実機を試用し、その実力を確かめてみました。

ハイエンドモデルの風格がただよう外観、ディスプレイも高品質
4万円の5Gスマホと聞くと、プラスチックの安っぽい端末を思い浮かべてしまうかもしれませんが、Mi 10 Lite 5Gにそれは当てはまりません。
外観は、むしろ真逆で4万円台のスマホとは思えないほどです。
側面のフレームには金属が使われており、背面も硬質感のあるガラス素材。
しかも、左右が滑らかにカーブしていて、手に取ったときにしっかりフィットします。


光沢感もあって豪華な印象
背面の光沢感も派手過ぎず、柔らかな印象。
インカメラ部分はいわゆるノッチになっていますが、カメラのレンズ回りだけの最小限にとどめられているため、映像を見る時の邪魔になりません。
カメラもスクエアな台座の上に収められており、スマホのデザインのトレンドを踏襲しています。
デザインや質感だけでは、4万円台の端末とは分からないでしょう。
どちらかと言うと、ハイエンドモデルのような風格もあります。

ディスプレイの表示品質も高く、Mi 10 Lite 5Gにはサムスン製の有機ELパネルが採用されています。
解像度は2400×1080ドットのフルHD+ですが、ある程度目から離して使うぶんには十分。
有機EL特有のコントラストの高さがあり、黒い色がしっかり締まって見えます。
有機ELのため、部分的な表示でも省電力。
そのため、Mi 10 Lite 5Gには、「常時オンディスプレイ」が採用されており、時刻や通知などを、画面を点灯する必要なく確認できます。

設定で表示する情報をカスタマイズできる
指紋センサーはディスプレイの内側に搭載されています。
この価格帯のスマホの場合、背面や側面に指紋センサーを備えていることも多い印象ですが、本体のデザイン性とはトレードオフになります。
その点、Mi 10 Lite 5Gは指紋センサーが本体上になく、背面も側面もスッキリしたデザインにまとめられています。
読み取りも速く、片手で持ったときにちょうど親指が当たる位置にあるため、使いやすいと思います。

ボディにセンサーを配置しなくていいぶん、デザインがシンプルになる
カメラの画質も良好、ディテールを残せる48メガモードにも対応
背面のメインカメラは4つ。
いわゆるクアッドカメラで、この点もミドルレンジモデルとしては充実した仕様と言えるでしょう。
ただし、実際に写真を撮るために使うカメラは3つ。
1つは深度測定用のため、ポートレートモードを使わない限り出番はありません。
また、もう1つのカメラはマクロ撮影用で、こちらも200万画素と画素数が低いため、利用頻度が高いのは、4800万画素の標準カメラと800万画素の広角カメラの2つです。
実質的なデュアルカメラと言ってもいいでしょう。
実際に撮った写真は、以下のとおり。
広角カメラは画素数が低いため、ディテールまでしっかり捉えられているわけではありませんが、等倍で見るには十分なクオリティ。
歪みもマイルドに補正されていて、自然な見た目に仕上がっています。
4800万画素の標準カメラで撮った写真は、細部まで精細で、色のバランスもよく出ています。
撮影時には、4つのピクセルを1つにして取り込める光の量を上げるため、暗所にも強いのが特徴です。

ディテールは甘いが、歪みが少なく迫力がある

明るめの仕上がりだ
逆に、4800万画素をそのまま生かして撮影することも可能。
通常のようにメニューから撮影サイズを設定するわけではなく、「48M」モードとして独立しているため、切り替えも簡単。
画素数をそのままで撮影すると、取り込める光の量は落ちてしまうため、暗い場所には弱くなりますが、そのぶん、ディテールまで克明に記録できます。
以下の写真をご覧になっていただければ分かるとおり、看板に書かれた文字にフォーカスしても、画質の荒れが少なく、しっかり読むことが可能。
ファイルサイズが大きくなってしまうのは難点ですが、後から拡大して使いたい写真を撮るときに重宝します。
光学ズームは非搭載ですが、その代わりに使ってもいいでしょう。


拡大しても、劣化が少ないのは元画像が大きいからこそだ
処理能力が高く、使い勝手もいいコスパの高い5Gスマホ
ミドルレンジモデルというと、処理能力に不安を覚える方もいるかもしれませんが、Mi 10 Lite 5Gが採用するSnapdragon 765Gは、どちらかと言うとハイエンドモデル寄りのミドルレンジモデルが搭載するチップセット。
ベンチマークアプリで性能を測ってみたところ、2~3年ほど前のハイエンドモデルに近い数値が出ていました。
実際、端末を触っていても、動きは非常にスムーズで、アプリもしっかり動きます。
メモリ(RAM)も6GBで、複数のアプリを動作させる際にも十分です。

また、ストレージ(ROM)は128GBで、microSDにも対応しているため、十分なデータを保存しておくことができます。
先に挙げた通り、4800万画素そのままで撮影すると、写真のデータサイズは大きくなりがちですが、いざとなればmicroSDカードで拡張もできるため、容量不足に悩まされる心配もなさそうです。
長く使っているとどうしてもデータが貯まってきて容量不足になりがちですが、この仕様であれば安心して使うことができます。

OSにはAndroid 10を採用していますが、ユーザーインターフェイスはXiaomiが独自に改良を加えた「Mi UI」になります。
標準のAndroidと比べるとややクセはありますが、カスタマイズの幅が広く、かゆいところにまで手が届きます。
例えば、アプリ一覧を表示するドロワーの有無を選択できたり、用途に応じてもう1つのホーム画面に切り替える「セカンド・スペース」が用意されていたりと、標準のAndroidにはない機能も多数搭載されています。


ただし、Mi 10 Lite 5Gはグローバルモデルに仕様が近く、残念ながらおサイフケータイには非対応。
モバイルSuicaやiD、QUICPayなどは利用できない点は残念。
また、防水仕様もないため、水回りで利用する際には注意が必要になります。
ミドルレンジモデルでも、こうした仕様を完備した端末は増えているため、次機種以降の対応には期待したいところです。

とは言え、4万円台前半という価格を考えると、コストパフォーマンスの高さは十分。
本体にも高級感があり、価格以上の価値がある端末だと言えます。
使ってみると、この価格が「安すぎる」と感じるほどで、コストパフォーマンスに優れた端末の開発を得意とするXiaomiの真骨頂を体感できるはず。
コストを抑えながら5Gデビューしてみたい人には、うってつけの端末と言えそうです。