
【Xperia 1 II レビュー】カメラ・ディスプレイ・音質が進化
日本ではAndroidスマートフォンのトップブランドとも言えるXperiaから、待望の5G対応フラッグシップモデルが登場しました。
ドコモとauから発売になった「Xperia 1 II」がそれです。
Xperia 1で端末コンセプトを大きくリニューアルし、その第2世代目ということで完成度が高まったXperia 1 II。
カメラやディスプレイが進化し、音質面も強化されています。
筆者はその実機を入手。2週間強使ってきたインプレッションをお届けしたいと思います。

大きく強化されたカメラ、自然な写りで解像感も高い
Xperia 1 IIで特筆しておきたいのが、進化したカメラ機能です。
カメラの数はXperia 1と同じトリプルで、超広角、標準、望遠という構成も同じですが、Xperia 1 IIには深度を測定できるiToFセンサーも搭載されており、数え方によってはクアッドカメラになっています。
iToFは、オートフォーカスの高速化に貢献していますが、実際に使ってみると、確かにシャッターキーを半押しするだけで、すぐにフォーカスが合い、気持ちよく操作することができます。

画素数は3カメラとも1220万画素で、これもXperia 1と同じですが、中身は大きく進化しています。
メインとなる標準カメラは、センサーが1/1.7インチに大型化しました。
センサーサイズが大きくなると、取り込める光の量が増えるため、暗い場所で撮影した際のクオリティが上がります。

Xperia 1 IIで撮影した夜景の写真はご覧の通りで、暗い場所ですが、ノイズが少なく仕上がりは上々です。
一方で、ここ最近のスマホでは、複数枚の写真を合成し、夜景を明るく、きらびやかに撮るのがトレンドになっています。
Xperia 1 IIで撮った写真は、そのような写真と比べると、やや地味に写るかもしれません。
夜景以外でも傾向は同じで、発色は控えめで、どちらかと言うと、目に映った現実の被写体に忠実な印象があります。
Xperia 1 IIにはソニーのデジカメ「α」のノウハウが注入されているため、デジカメに近い絵作りになっているというわけです。


デジカメに近いのは、絵作りだけではありません。
ドコモ版の発売と同時に行われたアップデートで、Xperia 1 IIは「Photography Pro」と呼ばれるカメラアプリに対応しました。
このアプリのユーザーインターフェイス(UI)は、αのそれをタッチパネルでの操作に最適化したもの。
「オート」「プログラム」「シャッター速度優先」「マニュアル」のダイヤルを切り替え、それぞれのパラメーターを調整して撮影するスタイルは、まさにデジカメと言えるでしょう。



スマホのカメラとの大きな違いは、画面上にシャッターボタンがないところにもあります。
Photography Proは、側面に搭載されたシャッターキーを使い、半押しでAF/AEロック、全押しで撮影になります。
そのため、撮影時には本体を横にするのが基本。
もちろん、縦位置でも撮ることはできますが、撮影スタイルはスマホというよりデジカメのそれに近いと言えるでしょう。
こうした点は、Xperia 1 IIがほかのスマホとは大きく異なる点で、独自性の高いポイントと言えそうです。
驚異の秒間20枚連写、カメラアプリも利用可能
このPhotography Proを使ったときにできるのが、秒間20枚の高速連写です。
連写機能を備えたスマホはほかにもありますが、ここまでのスピードで撮れるのはXperia 1 IIならでは。
秒間30回、露出も補正し、ピントを合わせ続けてくれるため、動きのある被写体を撮るのにピッタリな機能です。
この連写機能を使うときは、Photography Proで、連写を「連続撮影:Hi」に設定すればOK。こうした設定項目も、ソニーのデジカメに合わせられています。

連写機能を使うと、シャッター音が連続して小気味よく鳴り、一気に写真が撮影されていきます。
ただし、保存先は転送速度の問題もあってか、本体ストレージのみ。
シャッターボタンを押し続けると、何十枚と写真が増えてしまうので、使いどころには注意した方がいいかもしれません。
また、スマホの処理能力を必要とするためか、本体が熱くなりがちなので、炎天下で続けて使用するのは避けた方がいいでしょう。
撮った写真は、まとめて保存され、1枚だけがサムネールで表示されます。
ビューアーが写真で埋め尽くされてしまわないのは、便利なポイント。
ビューアーはGoogleフォトアプリを使用する形で、クラウドへのバックアップも自動的に行うことができます。
連写機能の場合、撮り過ぎると容量も大きくなってしまうため、アップロードはWi-Fiのみにするか、ドコモやauの使い放題のプランに加入しておくといいでしょう。

動きの多い被写体を撮るときに重宝しそうな機能だ
ここまではPhotography Proを前提にXperia 1 IIのカメラ機能を紹介してきましたが、実は同機種は、一般的なスマホと同じようなカメラアプリも搭載されています。
こちらは、シャッターボタンが画面内にあり、人物の写真に美肌効果を付加できるなど、よりスマホ寄りな作りになっています。
ただし、上記のような秒間20コマ連写が利用できないほか、人間や動物の目にオートフォーカスを合わせる瞳AFも、人間限定になっています。
こうした違いを理解したうえで、2つのカメラアプリを使い分けることができるのが、Xperia 1 IIのおもしろいところです。

美肌効果機能が搭載されているなど、こちらはスマホのカメラアプリらしい仕上がり
ディスプレイや音楽再生もソニークオリティ、5Gにも対応
カメラだけでなく、ディスプレイも進化点。
Xperia 1で打ち出した21:9の縦長ディスプレイは継承しつつ、新たに90Hz相当の滑らかさで駆動する技術が取り入れられました。
ディスプレイそのものが90Hzなのではなく、表示に変化がある際に電圧をかけて高速化するといった仕組みで、残像感が少なくなるのが特徴です。

21:9のディスプレイは、映画を見るときに重宝します。
一般的スマホのディスプレイだと上下に黒い帯ができてしまうか、左右が切れてしまいますが、21:9であれば、画面いっぱいに映画の映像が広がります。
Netflixなど、対応したアプリについては自動的にクリエイターの意図した色調を再現する「クリエイターモード」に切り替わるなど、映像美にもこだわっています。

Netflixなどで動画を再生すると、自動でこのモードに切り替わる
進化点という意味では、音楽機能にも注目しておきたいところ。
3.5mmのイヤホンジャックが搭載されているうえに、楽曲をハイレゾ相当にアップコンバートする「DSEE Ultimate」にも対応しています。
AIを使い、圧縮によって失われた高音域や微細な音まで復元する技術で、音質のよさにも光るところがあります。
このように、Xperia 1 IIは、カメラ、ディスプレイ、音楽と、ソニーの得意とする技術が凝縮された端末に仕上がっていると言えるでしょう。


もちろん、フラッグシップのスマートフォンとして、処理能力も非常に高く、レスポンスも良好です。
クアルコムの最上位モデル向けのチップセットである「Snapdragon 865」を搭載しており、メモリ(RAM)も8GBと十分な容量。
ストレージ(ROM)も128GB搭載で、microSDカードでの拡張にも対応しています。
先に挙げた90Hz相当で駆動するディスプレイと相まって、操作感がいいスマホに仕上がっています。
また、5Gに対応しているのもこの端末の魅力。
エリアはまだまだ限定的ですが、5Gでつながれば、数百Mbpsから1Gbps以上の速度が出て、一般的なWebサイトであれば、文字通り一瞬で開くことができます。
動画の読み込みもスムーズで、まるで端末内に保存しているかのようなレスポンスです。
5Gが使える場所は今後、徐々に広がっていくため期待が持てます。
とは言え、5GなしでもXperia 1 IIは十分優秀な端末。
生活圏がエリア化されないからといって、購入を躊躇する必要はないと言えるでしょう。
